八年執着されましたが、幸せです ~傷心のホテリエですが、イケメン御曹司と契約恋人になりました~
暁人のマンション
「カフェラテをどうぞ。途中で買ってきたんだ」
「ありがとうございます」
さすが高級車で、運転席、助手席の後ろには飛行機のようにモニターがついていて、テーブルまである。
充電用のコンセントやUSBポートがあるのは勿論、足元にはフットレストもあるとか。
私は慣れない高級車にビビって緊張しながら、まだ温かいコーヒーを手にする。
「先日、ホテルでミルクを入れてたから、勝手にカフェラテにしたけど大丈夫だった?」
「はい。……お恥ずかしい事にブラックは苦手で、無糖のカフェラテが一番好きです」
「そう、良かった」
これから家政婦として彼のお世話をするからか、今日の副社長はとてもフランクな話し方をしていた。
「先日、ご家族の前では同じフロアの家でと言ったけど、本当に俺と同じ家でいいの?」
肝心な事を言われ、私はドキッと胸を高鳴らせる。
「……恋人役をするなら、同棲していないと親御さんに怪しまれると思います。やるからには完璧にこなさないと意味がないと思いますから。……もしも同じフロアの家が開いているなら、万が一家族が心配して訪れる事があった時、副社長が保有している空き家を、ダミーの家として使わせていただけたらと思います」
「分かった、そうしよう。……それで、君は俺の事を暁人って呼んでくれないの?」
「えっ……」
私は驚きのあまり、窓側に身を寄せる。
「そんなに警戒しなくたっていいじゃないか。これから俺たちは仮の恋人になるんだよ? 名前で呼び合わないと変に思われる」
「そ……、そうですけど……」
「だよね? 芳乃」
至近距離で美形にニコッと笑いかけられ、心臓に悪い。
「う……、うう……。……はい。暁人さん……」
照れてうめくように言った私を見て、彼は「今はまだ〝さん〟づけでも仕方ないか」と呟いてコーヒーを飲む。
「今夜はお祝いにディナーに行こうか。店を予約してあるけど、フレンチは好き?」
「だ、大丈夫です」
フレンチと聞き、一瞬ウィルと行った店が脳裏をよぎる。
けれど私はそれを振り払って笑顔を作った。
「君のためにワンピースや靴、バッグとかを用意したから、それを着てくれると嬉しいな」
「えっ!?」
思いも寄らない事を言われ、私は大きな声を上げた。
「そ、そそ、そんな……。これ以上ご迷惑をおかけする訳には……」
副社長が用意した物なら、ブランド物のような気がする。
「俺の自己満足だから気にしないで。恋人に自分の気に入った服を着てもらいたいってう、男のエゴ。君にお金を請求する事ないから、安心して」
「ですが……」
困り切って眉を寄せると、彼は脚を組んで微笑む。
「俺は恋人に金銭を要求したりしない。困らせるだろうから程度は弁えるけど、恋人には贈り物をしたい。……この気持ちを汲んでくれる?」
そう言われ、私は渋々頷いた。
「……分かりました」
「ありがとう」
暁人さんはニパッという擬音語が似合いそうな笑みを浮かべ、機嫌良さそうに前方にあるモニターを操作してテレビを付けた。
モニターはテレビというより大きなタブレットと言ったほうが良さそうで、ホーム画面には配信番組のアプリの他にも、仕事に関係しそうなアプリが幾つも入っていた。
そのまま、車は一時間半少し走り、千鳥ヶ淵にあるマンションの前に着いた。
エントランス前で車が停まって荷物を出そうとすると、暁人さんが「持つよ」と言って大きなリュックを背負い、スーツケースを二つ持つ。
「そっ、そんな、悪いです! 自分の荷物なので自分で持ちます」
すると、こちらを見てニコニコ笑った暁人さんと目が合ってしまった。
「俺は恋人に重い荷物を持たせない。OK?」
「……は、はい……」
どうもそう言われると弱く、反論できない。
ロビーはまるで高級ホテルのようで、コンシェルジュが常駐しているのは勿論、ヒロビリとした空間には黒い革張りのソファセットがあり、来客があった時は家に上げなくてもここで済むようになっている。
暁人さんいわく、他にも会議室などもあるらしく、あまり人に聞かせたくない話はそちらを自由に使っていいのだとか。
建物の前面から横手にかけて、一面ガラス張りになり、敷地内にある美しい中庭が一望できるようになっている。
勿論、通りとの間には目隠しになるような植物が配置されていて、ここでゆっくりしていても外から丸見えになる事はない。
壁にはロビーを象徴する大きな現代アートがあり、全体的に赤っぽいウッド調で整えられていた。
暁人さんはコンシェルジュに私の事を紹介してくれていた。
「ありがとうございます」
さすが高級車で、運転席、助手席の後ろには飛行機のようにモニターがついていて、テーブルまである。
充電用のコンセントやUSBポートがあるのは勿論、足元にはフットレストもあるとか。
私は慣れない高級車にビビって緊張しながら、まだ温かいコーヒーを手にする。
「先日、ホテルでミルクを入れてたから、勝手にカフェラテにしたけど大丈夫だった?」
「はい。……お恥ずかしい事にブラックは苦手で、無糖のカフェラテが一番好きです」
「そう、良かった」
これから家政婦として彼のお世話をするからか、今日の副社長はとてもフランクな話し方をしていた。
「先日、ご家族の前では同じフロアの家でと言ったけど、本当に俺と同じ家でいいの?」
肝心な事を言われ、私はドキッと胸を高鳴らせる。
「……恋人役をするなら、同棲していないと親御さんに怪しまれると思います。やるからには完璧にこなさないと意味がないと思いますから。……もしも同じフロアの家が開いているなら、万が一家族が心配して訪れる事があった時、副社長が保有している空き家を、ダミーの家として使わせていただけたらと思います」
「分かった、そうしよう。……それで、君は俺の事を暁人って呼んでくれないの?」
「えっ……」
私は驚きのあまり、窓側に身を寄せる。
「そんなに警戒しなくたっていいじゃないか。これから俺たちは仮の恋人になるんだよ? 名前で呼び合わないと変に思われる」
「そ……、そうですけど……」
「だよね? 芳乃」
至近距離で美形にニコッと笑いかけられ、心臓に悪い。
「う……、うう……。……はい。暁人さん……」
照れてうめくように言った私を見て、彼は「今はまだ〝さん〟づけでも仕方ないか」と呟いてコーヒーを飲む。
「今夜はお祝いにディナーに行こうか。店を予約してあるけど、フレンチは好き?」
「だ、大丈夫です」
フレンチと聞き、一瞬ウィルと行った店が脳裏をよぎる。
けれど私はそれを振り払って笑顔を作った。
「君のためにワンピースや靴、バッグとかを用意したから、それを着てくれると嬉しいな」
「えっ!?」
思いも寄らない事を言われ、私は大きな声を上げた。
「そ、そそ、そんな……。これ以上ご迷惑をおかけする訳には……」
副社長が用意した物なら、ブランド物のような気がする。
「俺の自己満足だから気にしないで。恋人に自分の気に入った服を着てもらいたいってう、男のエゴ。君にお金を請求する事ないから、安心して」
「ですが……」
困り切って眉を寄せると、彼は脚を組んで微笑む。
「俺は恋人に金銭を要求したりしない。困らせるだろうから程度は弁えるけど、恋人には贈り物をしたい。……この気持ちを汲んでくれる?」
そう言われ、私は渋々頷いた。
「……分かりました」
「ありがとう」
暁人さんはニパッという擬音語が似合いそうな笑みを浮かべ、機嫌良さそうに前方にあるモニターを操作してテレビを付けた。
モニターはテレビというより大きなタブレットと言ったほうが良さそうで、ホーム画面には配信番組のアプリの他にも、仕事に関係しそうなアプリが幾つも入っていた。
そのまま、車は一時間半少し走り、千鳥ヶ淵にあるマンションの前に着いた。
エントランス前で車が停まって荷物を出そうとすると、暁人さんが「持つよ」と言って大きなリュックを背負い、スーツケースを二つ持つ。
「そっ、そんな、悪いです! 自分の荷物なので自分で持ちます」
すると、こちらを見てニコニコ笑った暁人さんと目が合ってしまった。
「俺は恋人に重い荷物を持たせない。OK?」
「……は、はい……」
どうもそう言われると弱く、反論できない。
ロビーはまるで高級ホテルのようで、コンシェルジュが常駐しているのは勿論、ヒロビリとした空間には黒い革張りのソファセットがあり、来客があった時は家に上げなくてもここで済むようになっている。
暁人さんいわく、他にも会議室などもあるらしく、あまり人に聞かせたくない話はそちらを自由に使っていいのだとか。
建物の前面から横手にかけて、一面ガラス張りになり、敷地内にある美しい中庭が一望できるようになっている。
勿論、通りとの間には目隠しになるような植物が配置されていて、ここでゆっくりしていても外から丸見えになる事はない。
壁にはロビーを象徴する大きな現代アートがあり、全体的に赤っぽいウッド調で整えられていた。
暁人さんはコンシェルジュに私の事を紹介してくれていた。