二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
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スプリング・ヘイブン牧場の最南端に位置するという湖へは、彼のピックアップトラックで十分ほどかかった。
自分の敷地内を車や馬で移動しなければならないなんて、すごい世界線だ。そもそも馬が移動手段の候補に入ること自体、またすごいけれど。
とにかく乃亜とダグラスはひと気のない静かな湖畔に辿り着いていた。
車のヘッドライトと月明りだけが頼りになるかと思ったのに、湖畔にはいくつかの真新しくて小綺麗なコテージが建っていて、各々明かりが灯されている。
車から降りると、湖畔には舗装されたサイクリング用の小道と、湖を望むウッドデッキまである。
外灯もひとつ灯っており、今は黒々とした水面が光を反射していた。
「あれがスプリング・ヘイブン牧場のコテージですか?」
「そう。元々三棟からはじめたのが、今は七棟ある。パゴサ・スプリングスの温泉やトレッキングの客がもっと静かな場所を求めて借りにくることが多い。最初、親父は反対していた……のを、俺が押し切ってはじめたんだ」
「へえ……」
小道を歩きはじめると、ダグラスは思いのほか饒舌にコテージと周囲の説明をしてくれた。
宿泊客はネイトの乗馬レッスンを無料で受けられるのが好評を博していること。地盤の緩いこの湖畔にコテージを建てたときの困難。秋になると望める美しい紅葉……。
ダグラスの言葉にはこの土地への愛情が感じられた。
「実はひとつ、ここに来てから聞きたかったことがあるんです」
「ん?」
「スプリング・ヘイブン牧場の『スプリング』……。これは春という意味ですか? それとも温泉?」