二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 現代──乃亜の章




 ひたすらに続く荒野の情景を前に、広瀬(ひろせ)乃亜(のあ)はいつしかハンドルを握る手を緩めていた。
 ──最後に対向車とすれ違ったのはいつだっただろう?

 季節は初夏。ところはアメリカ合衆国コロラド州。
 ……に、まだいるはずだ。そう思いたい。

 ときは午後二時を少し過ぎていた。
 少なくともダッシュボードの電子時計はそう告げているが、このひと昔前のアメリカ車をどこまで信じていいのか、あまり定かではなくなってきている。

「まさかここまでなにもない場所だなんて……。おばあちゃんのためじゃなかったら、もう引き返すところなのに!」
 叫んでみても、独りきりの車内に自分の声が響くだけで、なんの解決にもならない。

 乃亜はカーナビアプリが開かれているスマホの画面にチラリと目を向けた。デンバー国際空港から出て、コロラド・スプリングに寄ったあたりまではよかった。
 まだ文明があって──つまり、スマホがまだ使えて──道順を案内してくれた。

 そこからさらに南下すると、景色こそは息を呑むほど雄大で美しい渓谷が広がっているものの、徐々に対向車は消え、時々スマホの電波が怪しくなり……パゴサ・スプリングを横目に目的地に向かってハンドルを切ると、そこは完全なる荒野だった。
 荒野の中に、一本の道があるだけ。
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