二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
(わたし、こんなところでなにをしてるんだろう……)
乃亜が空港で借りたレンタカーは、バカンスシーズンで他はほとんど出払っていたとかで、ビルトインのカーナビもない古い車種だ。
時々、エンジンがぷすん、ぷすんと音を漏らすのは、空耳だと思いたい。
それでも助手席に置いたバッグを見ると、乃亜はやはり進まざるを得なかった。
(そうよ。わたしはこれを届けなくちゃいけないんだ。それまでは進まなきゃ)
そうだ、乃亜にはこの使命がある。
逆に言えば、『これ』さえ終えればもうコロラドくんだりに用はない。
これを該当の人物に渡したらそれで終わり。さっさと帰ればいい。パゴサ・スプリングは温泉があって素敵だというから、そこだけ少々観光をして……。
あとは、早く日本に帰らないと。
* *
ぷすん! ぷすん!
不穏な「ぷすん」音は少しずつその存在感を増し、おそらくあともう少しで目的の牧場に着くという頃になって、無視できない音量になってきた。
「そんなぁ……」
音だけじゃない。あるべきではない軽い振動があって、最後に盛大な「ぷすん」音をもう一度上げたと思うと、車は徐々に動かなくなった。
「う……嘘でしょう? 誰か嘘だと言って。よりによってこんな場所で……」
嘆いてみても現実は変わらなかった。
広瀬乃亜、二十四歳、日本人。
はじめて訪れたアメリカはコロラドの荒野で、レンタカーが故障し立ち往生。スマホは使えず消息不明。
ニュースになるだろうか? それともこのくらいでは誰も話題に上げないだろうか?
乃亜はうなだれてハンドルに頭を乗せた。