二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「ある日、親父と口論になった」
ダグラスの喉仏が、彼の荒い呼吸と一緒に大きく上下する。
「……親父がずっと独り身で、俺以外に子供がいない理由が『ハルコ』なのは、最初から知っていた。昔はそれを美しい話だとさえ思っていた。でも十七歳の俺には、それが惨めな負け犬の人生に思えてきたんだ。この『春』の名の牧場に──永遠に来ない、すでに他の男と結婚した女のためにあるのであろう牧場に、なんで俺が生涯を捧げなくてはならないのかと」
「…………」
「親父は……ショックだったと思うよ。牧場の名前の意味を問いただしたのもこのときだ。だから親父は言い繕ったんだろう、他にも意味はあると」
ふと、明かりの灯ったコテージのひとつから、家族連れの笑い声が聞こえてきた。
ふたり一緒にそちらに視線を移すと、コテージのベランダで若い両親が小さな子供と一緒に遊んでいる。
どこか都会から来た家族が、つかの間の休暇を楽しんでいるのだろう。
なんだかいたたまれなくなって、乃亜はうつむいた。
ウィリアムの心を思って。
ダグラスの過去を慈しんで。
「それから……?」
震える声で乃亜は聞いた。