二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
ダグラスはふっと小さく息を漏らして、ポケットからスマホを取り出す。
──あ、ちゃんと持ってるんだ、スマホ。
よく考えるとまだ番号を教えてもらっていないそれをスワイプするダグラスの指に、乃亜はぼぅっと見惚れた。
彼の身体の他の部分と同じく、大きな手だ。
長い指……。
画面に現れた画像は某SNS上のもので、ホットケーキや卵料理がメインの典型的なアメリカン・ブレックファーストだった。それに少々サラダなどを加えて豪華にしたもので、乃亜に作れないものはなにもない。
「給仕用のお皿の用意と……キッチンさえ使わせてもらえれば、指定の時間ぴったりに間に合わせます」
「皿とバスケットは俺がこれから婆さんのところに取りに行く。予約は二人分一組が七時、四人分一組が八時半のふたつ」
「任せてください」
乃亜は再び胸に手を当ててうなずいた。
ダグラスは薄く微笑み、乃亜に称賛の目を向けている──少なくとも乃亜には称賛と思える、温かい視線を。
「ありがとう。君はスプリング・ヘイブンに下り立った天使だ」
──へ?
「俺はこれからパゴサにいるその婆さんのところで必要なものをもらってくる。君は好きにうちのキッチンを使ってくれ。鍵はここだ」
ダグラスはいくつかの鍵が連なった輪っかを乃亜に投げてよこした。
格好よくキャッチしたかったのに、不意打ちだったせいで鍵の束は乃亜の足元にぺしゃんと落ちる。
ダグラスは低い声で笑いながら踵を返した。
笑い……。
(な……なにが起きたの?)