二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
最初の七時のオーダーを出し終えた頃、乃亜はすでに余裕ができていた。
八時半のオーダーのための下ごしらえは済ませたし、できるだけ温かいものを食べてもらうために直前に火を通すだけだ。
だから、乃亜はあり合わせの食材を使って、ダグラスと一緒に食べるための朝食も用意しておいた。
八時半のオーダーをダグラスがコテージまで届けたあと、ちょっと彼としては珍しいくらいの明るい雰囲気を漂わせて帰ってきた。
「どうかしました……?」
「これを見てくれ、ノア」
朝食のセッティングをしているところだった乃亜に、ダグラスがスマホの画面を見せる。乃亜も使ったことのある宿泊施設検索サイトが表示されていた。
『スプリング・ヘイブン・コテージは最高! 部屋は清潔で広々としているし、景色は素晴らしくて、スタッフも親切よ。でも、なんといっても一番素晴らしかったのは朝食だわ! これを見て! ──パメラ・B』
新しいレビュー欄に、ついさっき投稿されたばかりの書き込みがある。
文章のあとには写真が三枚ほど投稿されていて、乃亜が七時のオーダーで作った料理が写っていた。
「わあ、すごい! もう書き込んでくれたの? 本当に?」
乃亜は思わずダグラスからスマホを奪っていた。
彼はそれに気を悪くすることはなくて、むしろ乃亜の興奮を楽しんでいるみたいだった。
乃亜はすでに数年プロの料理人として働いてきたから、自分の料理を紹介されたことはある。でもレストランは──特にフレンチは──名を冠したシェフがその功績を受けるから、こうして乃亜だけの仕事が認められたのははじめてだった。