二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「うーん……どう思う、チャンピオン?」
すっかり手に馴染むようになった例の熊手っぽい鍬を握ったまま、厩舎で干し草を食んでいるチャンピオンに日本語で声をかける。
最近確信を持ったのだが、チャンピオンは間違いなく人間の言葉を理解する。ただし英語だけ。
なぜなら日本語で話しかけると反応が薄いからだ。
今も無視されている。
「どうしてわたしは彼を好きになったんだと思う? もう、これならわかってくれる?」
乃亜が英語に切り替えると、チャンピオンはむしゃむしゃと嚙み潰していた干し草をぶほっと吹いた。幸い顔にはかからなかったけれど、女性用カウボーイブーツの足元に馬のつばに濡れた干し草が汚く散らばる。
乃亜は笑った。
笑えるくらいには、すでに免疫ができている。
自分よりずっと大きいこの生き物の力強さに惹かれると同時に、その賢さにリスペクトを感じるし、各々の癖ある個性を愛しいと思った。
「聞くまでもないってことかしら。そうでしょう、チャンピオン?」
──ヒヒヒ……ヒィン!
なんだか肯定されている気がするし、チャンピオンはきちんと首を縦に振っている。
それはそうだろう。
相手は長身美形のカウボーイで、この馬の持ち主だ。まだ見ぬ乃亜の曽祖父が我が子にと望んだ男性で、この美しい土地に人生を捧げている。惚れるなと言う方がおかしい。