二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「今からでも遅くはないですよ……?」
「そうであることを願うよ」
ダグラスは腕時計に目を落として、時間を確認していた。
「……さっき病院に連絡したところ、とりあえず小康状態が続いているので、近いうちに面会できるようにすると言っていた。会えるのは家族だけだから、君の名前もリストに入れてもらえるようにしておく」
「ありがとうございます」
乃亜の感謝の言葉は、固い棒読みになってしまった。
ああ、自分はなんて親不孝……ならぬ曽祖父不幸なひ孫なんだろう。ウィリアムに面会して、手紙を渡してしまえば、乃亜はもう帰らなければいけない。
それは嫌だった。
それは辛かった。確かにダグラスはいつでも来ていいと言ってくれたけれど、それだってウィリアムに会うためであって、ウィリアムはもうすぐ百歳である。成田からデンバーまでの航空券代だって安くない。
つまり、一度日本に帰ってしまったら、もう会える機会はほとんどない。
「親父は……君に会えるのを喜ぶと思うよ」
「わたしも嬉しいです。ここに来る前はその……面倒な役目を押しつけられたと思っていたんですけど、今は来てよかったと思っています」
ダグラスは乃亜の言葉をひとつひとつ吟味するようにうなずいた。
「それはよかった」
「この辺りで行ってみたい場所もまだいくつかあるし……。ネイトさんが教えてくれたんですけど、素敵なトレッキングコースが沢山あるって」
「確かに登山用の小道は多い」
と、ダグラスはうなずいた。それからしばらく考えるように黙って、ジーンズのポケットに手を入れると乃亜を上から下までじっくり観察していた。
乃亜はすでにお馴染みとなった女版カウボーイルックで全身を固めている。
さすがのダグラスも、乃亜の服装についてはもうダメ出しをする個所がないらしく、なにも口出ししなかった。よし。
「ネイトが教えたんだ?」
「え? ええ……。というか、ネットで調べたら面白そうな場所がいくつかあったので、おすすめのコースを聞いてみたんです」
「それで?」