二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
その日の夕方、ダグラスがつけてくれた乃亜の乗馬レッスンは奇妙だった。
まず、ダグラスの口数が少なすぎる。
キノコの効果が終わってしまったのだろうか? もしかしたら副作用で、あとになると静かになってしまうとか……?
ダグラスはチャンピオン、乃亜はマージュという名前の気性の大人しい雌馬で半時間ほど牧場の敷地内を乗馬したのち、厩舎に戻ってきた。幸い、すでに数日レッスンを受けていたお陰で、乗り降りだけはできるようになっている。
乃亜はひとりで降馬した。
そのときになってやっと、ダグラスは厩舎に戻ってきたことに気がついたみたいだった。
「ああ」
と、誰にというわけでもなくささやき、彼もまたチャンピオンから降りる。
「今日は疲れてるみたいだから、もうここまでにしましょう? ありがとうございました」
乃亜の提案にダグラスは反論しなかった。
……しなかったけれど、かといって同意もしない。
ふたり無言で厩舎の独房に各々の馬を入れて、干し草や水を用意すると外に出た。厩舎のすぐ横にはダグラスのピックアップトラックが停まっている。
もう慣れたもので、乃亜ひとりでも開けられるし乗れるし降りられる……けれど、ダグラスは助手席の扉だけは必ずといっていいほど乃亜のために開けた。
南部男の矜持だ、というような話をホセから聞いた。
これがマナーだと。
それでも毎回ときめいてしまうのは止められない。まるで自分を特別に扱ってくれているような気がして舞い上がってしまうのは、愚かだろうか。