二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 ──俺はここでなにをしているんだろう。
 そんな理性の問いがまだ脳裏に残ってはいたが、いつまで冷静でいられるかは謎だった。目の前には乃亜がいて、薄い半袖のシャツとジーンズに身を包んで、潤んだ瞳でダグラスを見つめている。

 これはなんの試練だろう。
 なんの……拷問。

 三十五年も男として生きてきて、いまだに下半身の一部さえ制御できないとは、喜劇を通り越して悲劇では?

 ダグラスはシャワー上がりにジーンズを履くことにした己の判断を神に感謝したが、同時に天を呪いもした。
 厚いジーンズ生地の下では、無駄に自己主張をしたがる息子が今にも外に飛び出さんばかりに猛っていて、痛いからだ。
 この愚息は、目の前にいる元バレリーナを哀れなほど欲しがっていた。
 もしこの特定の部分に声があれば、深夜のフクロウも真っ青な求愛の叫びを上げていたことだろう。

 そんなふうに、この衝動を誰か──なにか──のせいにしたくなる程度には、ダグラスは自分を持て余していた。

「あの……ビールでも……吞みますか?」
 乃亜は視線を泳がせながら、とりあえずダグラスの裸足の足に焦点を定めると、あまり賢いとはいえない質問をしてきた。
 目の前にいる獣にアルコールを与えるのはよくないと、教わったことはないのだろうか?
 教えるべきだろうか?

「今はやめておくよ。なにか作ってもらえるなら、コーヒーを一杯」
「はい……もちろん」
「ありがとう」

 こそこそとダグラスに背を向けると、乃亜はコーヒーメーカーに手を伸ばす。
 乃亜もまた同じようにシャワーを浴びたばかりのようで、茶色の髪はアップにされていて、うなじ辺りに後れ毛がわずかに垂れている。

 なぜ……?
 なぜこんなにダグラスを誘うものが、この広瀬乃亜という女性には付属されているのだろう?
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