二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
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その晩はいつもより人数が多くて賑やかだった。
普段は帰宅して夕食を取っているというコテージの従業員やホセの部下などまでが、乃亜の料理の腕の話を聞きつけて食べにきたからだ。
「あなたがノアね。ダグラスから話はかねがね聞かせてもらったわ。宿泊客にも好評で助かってるの。ありがとう。わたしはマリアナよ」
コテージ運営の雇いマネージャーだという三十代の女性もそこにいて、乃亜に握手を求めてきた。黒髪で、一見すると白人だが、もしかしたらインドか東南アジア系の血が混ざっているのかもしれない、少しエキゾチックな雰囲気のある美人だった。
「こちらこそ……ありがとうございます。毎朝楽しく作らせてもらっています」
「できたら、あなたにディナーのオーダーも頼めないかしらってダグラスにお願いしたのよ。そうしたらすごい剣幕で断られちゃったけど。ノアはこっちの夕食まで手伝ってくれているんだから、そんな負担はかけられないって。ね、ダグラス?」
美人マネージャー・マリアナは、ダイニングエリアをウロウロしているダグラスに声をかけた。料理ができた頃にやっと家に戻ってきたダグラスは、シャワーを浴びてから結構な時間が経っているはずなのに、髪は濡れたままだ。
それが彼の男の色気をさらに上げている。
ひとり馬鹿みたいに興奮したくなくて、乃亜はできるだけ推しのカウボーイを見ないように視線を泳がせた。
「そうなんですか……? オーダーの数にもよりますけど、少しくらいなら喜んで──」
「ノア、君はそのうち帰国するんだ。そこまで仕事は広げられない」
ダグラスの鋭い声がテーブルの向こうから飛んできて、乃亜は仕方なくそちらに顔を向けた。ダグラスは遠くから乃亜を見つめている。
そう、ダグラスは乃亜に近づこうとしなかった。
乃亜もあえて、彼に近づこうとはしなかった。
マクブライト邸は無駄に広いから、離れようと思えばいくらでも離れられる。この家で喧嘩をしたら、ちょっと寂しいだろうなと思ってしまうくらいに。