二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
次の日の朝、ダグラスは久しぶりに──もしかしたら成人してからはじめて──寝坊というものをした。
理由はわかっている。ほぼ一睡もできなかったからだ。
夜明け頃にやっと訪れた薄い眠気に目を閉じて、数時間後。ダグラスは下階のキッチンの物音で目を覚ました。
──乃亜だ。
どうしてダグラスは最初、彼女に牧場の仕事などできないと思い込んでしまったのだろう? 乃亜は驚くような規律と、勤勉さと、そしてしなやかさでダグラスを驚かせた。
よく考えれば乃亜はウィリアムの正当な血統なのだ。
彼女の血には、この土地で生きる権利が──もしかしたら義務さえ──流れている。おそらくダグラスよりも……。
ダグラスは昨日の過ちを繰り返さないよう、上から下まできっちり服を着込んで一階に下りた。
「おはよう」
声を掛けると、乃亜は振り返った。
「おはようございます……。ごめんなさい、まだ寝てるみたいだったのに、勝手に入って使いはじめてしまって」
「俺こそ悪かった。なにか手伝おうか?」
「大丈夫ですよ。今朝のオーダーは二件とも八時半と九時で遅いんです。皆、今日は朝寝坊ですね」
トントンと野菜をリズミカルに切りながら、乃亜は指摘する。まな板に視線を向けた乃亜は、ダグラスから意図的に目を逸らしているようだった。
ダグラスは自分でコーヒーを淹れるために乃亜の隣に立った。
乃亜は特に必要もないのに、一歩横にずれて、ダグラスから距離を取った。
「ノア」
ダグラスは声に警告をにじませた。