二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
ダグラスの言葉はいつもシンプルだ。
だからこその重みがあって、信頼できる。飾りのない真実。迷いのない決意。彼の口から紡がれるのはそんな言葉ばかりで、乃亜はそのすべてを宝物として心に刻みたいくらい、愛しく感じた。
幸い季節は夏なので、雨で冷えたといっても震えるような寒さではない。
ダグラスの荷物に入っていた着替えはみなビニール袋に入っていて無事だったから、それに着替えさせてもらってトレッキングを再開した。彼の大きなシャツが心地いい。
「雨水が流れ込んだせいで、温泉はあまり温かくはないかもしれないが──水量が増えて綺麗だと思うよ」
と、ダグラスが説明してくれたピアドラ川に出るまで、ぬかるみをゆっくり進んだせいで一時間近くかかった。
道中、ダグラスは急がずにゆっくり歩いて、所々で乃亜が滑らないように手を差し出してくれる。
これは彼のマナー……ああ、ホセはなんと言っていたっけ?
南部男の矜持。そう、それだ。
それでしょう……?
「わあ、ここが? すごい! 可愛いっ!」
急に森が開けて、小道の先に一本の細い川が現れた。
細いとか可愛いという感想になってしまったのは、これに先駆けて見ていたサンフアン川やスプリング・ヘイブン牧場にある湖がもっと広大だったからだ。
この川はなんというか……日本の山でもよく見る感じの、歩いて向こう岸まで渡れる浅瀬の続く、ささやかな水流だった。
そして硫黄の匂いがする。
温泉だ!