二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
ダグラスは反論したげに上目遣いで乃亜をじっと見据えた。
身長差のせいでずっと見上げるばかりの構図だったから、こうしてダグラス・マクブライトの顔を見下ろすのははじめてかもしれない。
別にどの角度から見ても彼が大きくて迫力のある男性であることは変わらないけれど、ちょっとこう……可愛いというか……母性本能をくすぐるようななにかが、そこはかとなく加わる。
「この程度ですんでいることを神に感謝した方がいいよ」
ぴしゃりと告げて、ダグラスは例のリュックから消毒薬スプレーを取り出した。
一緒にガーゼまで出てくる。
シュッとスプレーを受けて、そこをガーゼで拭かれて、絆創膏が貼られるまでに一分も掛からなかった。さすが。
「……牧場の馬や牛も、よくこうやって怪我するんですか?」
「君の想像以上にね」
ダグラスは作業が済むとさっさと道具類を規律正しくリュックにしまった。
ちょっと見惚れてしまう動作というか……こう言ってはなんだが、素人ではない動きだった。牛や馬のためにここまでできるようになるものだろうか。
乃亜の無言の疑問を察したのか、ダグラスは皮肉っぽい笑みを浮かべる。
「68Wだったんだ」
「え?」
「68ウィスキー部隊。コンバット・メディックのことだ。戦地の救急救命士みたいなものだ」