二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 それは……ダグラスにはもう心に決めたひとがいるから、乃亜は駄目という意味だろうか? つまり、ダグラスは『誰も乗せない馬』ではなくて、『生涯にひとりしか乗せない馬』だったということで……。

「わ……わたしじゃ、そのひとの代わりにはなれないの……?」
 乃亜の声は震えた。

「ノア、だれも君の代わりにはなれない」
「それは……って、え?」
「どうやって君が、君自身の代わりになるんだ? いいか、俺は好きでもない女の膝にキスをするようなタイプの男じゃない。好きでもない女を嵐の中助けにきたりもしない。毎晩湖畔への散歩に連れて行ったりもしないし、ましてやウィリアムとの家の鍵を渡したりは絶対にしない」

 それは……確かにそうかもしれない。
 でも。
 でも、ちょっと待って。

「あなたが『誰も乗せない』のは、他に好きなひとがいるからじゃないの……?」
「違う」
 ダグラスはあっさりと否定した。
「俺が言いたいのは……これは俺自身の問題で、君にはなんの落ち度もないということだ」
「でも、どうして」
「ここでは説明できない。いつか……教えられたらと思う。いつかこの(くびき)から解放されて、君に愛を乞う資格を持てたらと思う。……ただ、今の俺にはどうすることもできない。でもそれは俺が君に惚れていないという意味じゃない。それをわかって欲しい」
「…………」

 なにをどこまで信じて、どこからどこまでに線を引けばいいのだろう。
 こんな恋は。
 こんな想いは。
 こんなふたりは……。

 そんなの嫌です、理由を教えてと泣きつけば、ダグラスは心を変えてくれるだろうか。おそらくそれはない。なにより乃亜自身、こんな複雑な新しい恋に無条件で飛び込めるほど、心の傷が癒えているわけでもない。
 そのうえ、ダグラスは彼の気持ちを教えてくれたのに、乃亜はまだなにも伝えていなかった。
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