二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

「ダグ……ラス?」
 開いた扉の隙間から現れたのは、肩からベッドの毛布を被った乃亜だった。この暗さの中でも、彼女の全身が震えているのは明らかだった。

「ノア、どうした……? 中でなにかあったのか?」
 ダグラスは両手で乃亜の頬を包んで、上を向かせた。そして、そのあまりの熱さにすぐすべてを悟った。

「ご、ごめんなさい……起きられ、なくて……」
「熱があるのか? どうして俺に連絡しなかった?」
「スマホ……濡れていて……充電も切れちゃって……」

 ああ……。
 ダグラスは自分を殴りたい気分になった。自分が盛りのついたサルのように彼女のことを妄想しながら三本も抜いている間に、こんなことに。
 しかも乃亜は夏物の薄い毛布を必死でたぐり寄せて震えている。元々一週間の滞在予定だった彼女の荷物に防寒具はないだろう。キャビン内にもこの夏用の毛布しかないはずだし、セントラルヒーティングも切ってある。
 ダグラスはたまらなくなって乃亜をぎゅっと抱いた。

「ノア」
「ごめ……ごめんなさい……。実は……カーペットに吐いちゃったの……二回も」
 殺してくれ。
 いっそひと思いに殺してくれ、とダグラスはうなった。「いいんだよ。ノア、いいんだ。謝ることじゃない」
「……ふ……拭こうとしたの。でも、できなくて……そのまま……」
「気にしなくていい。本当に、気にすることじゃない。おいで」

 ダグラスは乃亜を抱き上げた。
 ──どうして最初からこうしておかなかったんだろう? 広瀬乃亜のいるべき場所は徒歩一分のキャビンなんかじゃない。あの家だ。
 ウィリアム・マクブライトが『ハルコ』のために建てた、あの家……。
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