二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
ダグラスの大きな手が風邪薬の小さなパッケージを器用に開けるのを、なんだか艶めかしいなと思いながら眺める。
自分自身で上半身を起こそうと努力はしたけれど、すぐには上手くいかない。
まごついていると、ダグラスはふっと小さく笑いを漏らした。
「なんのためにここに連れてきたと思っているんだ? 無理しなくていい」
背中を抱かれて、いくつかの枕を背後にあてがわれて、ベッドの上で斜め四十五度な感じで上半身を起こしたまま落ち着くことができた。
「ありがとうございます。ごめんなさい……」
しばらく夏の雨に打たれただけでこの有様とは、情けなくて泣きたくなってくる。もちろん、長時間フライトからはじまって牧場での慣れない仕事と森での半遭難……色々あった。疲れがたまってしまっただけかもしれないけれど。
「謝るな。ほら、口を開けて」
薬。そう、薬を飲ませようとしてくれているだけ……。
わかっているのに、ダグラスの仕草も口調も一々が色香に溢れていて、なにか他の意味を探してしまう。
よく見るとダグラスはいつものカウボーイ装備ではなくて、ロゴの入った普通のTシャツとジーンズというカジュアルな恰好だった。
普通に格好いい。
ああ……こんなふうに煩悩があるうちは多分大丈夫……よね? いくら曽祖父の土地とはいえ、遥かコロラドくんだりで命を落とすような真似はしたくない。
乃亜はなんとか言われた通りに唇を開いた。
カプセル状の薬がひとつ舌の上に乗せられて、思わずダグラスの指ごと噛んでしまいそうになる。ダグラスは微笑んで、水の入ったコップを彼の口元に持っていった。
──彼の。
「え……?」
ダグラスの顔が目の前に被さってきて、目を閉じる隙もないまま唇が重なる。彼の舌と一緒に口内に水が入ってきて、乃亜はほぼ反射的にカプセルを飲み下した。