二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 それからしばらく、乃亜は眠ってしまっていたらしい。
 目を覚ましたとき、周囲は薄暗かった。見慣れはじめたキャビンではなくて、もっと大きくて立派な部屋にいる……。

 壁に掛かっているのは安っぽいキャンバスプリントの馬の写真ではなくて、きちんとした額に入った油彩画。ベッドは……いわゆるクイーンサイズだろうか。大きすぎないけれど、十分にゆとりのあるマットレス。
 ベッドサイドにはアンティーク調のチェストが置いてあって、その上にシンプルだけど洒落た感じのランプが設置されていて淡い光を投げかけていた。

 そこにスマホと、水の入ったコップと、開封された風邪薬のパッケージと……プラスチックのボウルが置かれていた。

「ん……」
 かなり汗をかいたのかもしれない。
 まだ身体はだるくて重かったけれど、少しスッキリしたというか、少なくとも意識は眠りに落ちる前よりもずっと明瞭になっている。

「ダグラス……?」
 考えるよりも先に、彼の姿を探していた。

 なんでこんな夜中までダグラスが一緒にいてくれると思ったのだろう? 風邪薬を飲ませてくれて、温かい毛布を与えてくれただけで十分なのに、それ以上を求めるなんて滑稽だ。
 自分はこんなに構ってちゃんじゃなかったはずなのに……。

「起きたのか?」
 でも、まるで当然のように、すぐに彼の声が返ってくる。乃亜は声のした方向に顔を向けた。ベッドの上からだ。
 つまり乃亜の隣、同じベッドの上に、ダグラス・マクブライトは寝そべっていた。

 乃亜は毛布を掛けていたけど、ダグラスはなにも掛けずにただ横になっているだけだった。そしてその恰好は白いタンクトップにジーンズというものだった。
 彼の手には開かれたペーパーバックの本がある。
 灰色の瞳の長身美形カウボーイ──料理もできます。応急処置も得意です。追加……読書家です。
 待って! それは……もう反則だから!
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