二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
乃亜はヨロヨロと上半身を起こした。
きっと客室をあてがわれたのだろうと思っていたのに、よく見るとなんだかずいぶん生活臭のある広い部屋だ。いくつか読みかけの本が積まれたデスクと、ラップトップのPC。壁のラックに飾られたいくつかのトロフィー。コートハンガーに掛けられたカウボーイハット……。
「あなたの部屋……?」
「ああ」ダグラスはあっさりと認めた。「……一緒が嫌なら、俺は隣の客室か親父の部屋に移るよ。もしくはここの床で寝る」
「そんな。移るとしたらわたしの方なのに」
「駄目だ」
ぴしゃりと断言すると、ダグラスはベッドから下りた。
もしかしたら部屋から出ていってしまうのかと思って、乃亜の心は沈んだ……が、ダグラスはすぐに乃亜側のベッドサイドに回って、ランプの下に置いてあったカップを手に取った。
「ま……待って」
また口移しがはじまるのかと思って、思わず身構えてしまった。
もちろん嫌なんかじゃない! でも、心の準備というものがいるのだ。そんな乃亜の反応をどうとったのか、ダグラスはなにも言わずにベッドサイドの床に膝をついて、乃亜の手にコップを持たせた。
「きちんと水分は摂った方がいい」
「違うんです……嫌じゃないの。でも、わたしずっと寝ていたあとだからっ、もちろん吐いたあとには、なんとかうがいしましたよ? でも、きっと匂うから……っ」
ダグラスは低い声で短く笑った。
「口移しを期待してもらえたと思っていいのかな」
「あ……ち、違いました?」
「違わないよ。でも、もう無理強いはしない。普通に飲んでくれ。ほら」
ああ、もう。
顔から火が出そうだ。もちろん熱のせいなんかじゃない。
乃亜は一応コップを受け取ったけれど、なんだかすぐに飲む気にはなれなかった。思わずじっとダグラスの目を見てしまう。ダグラスは動かなかった。
「して……くださいって頼んだら、してくれますか?」
乃亜が懇願すると、ダグラスはうなずく。
彼の左手がゆっくりと乃亜の首の後ろをつかまえた。ダグラスはコップから水を啜るとそれを乃亜の唇に注いだ。