二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

「は……っ」
 雨の中でしたキスに少し似ている……でも違う。
 あれは衝動に突き動かされた、性急で必死なキスで、どこまでも激しかった。でも今はもっと深く……お互いの存在を求めながら、ふたりが唇を重ねることの意味を探す一時の旅に似ていた。

 ダグラスは同じ方法でコップ半分の水を乃亜に与えた。
 それが済んだころには、乃亜はもうどこが天井でどこが床かわからないくらい均衡感覚を失っていたし、ダグラスの息は荒く乱れていた。

「ひとつ聞きたい……」
 と、ダグラスがささやいたとき、乃亜はもしかしたらこのまま身体を求められるのかと思った。
 ──しかも、乃亜はおそらく拒否しない。
 でも次にダグラスが紡いだのは、まったく違う言葉だった。

「君の健康状態は大丈夫なのか?」
「へ?」
「『ツキコ』だったか……君の祖母……親父と『ハルコ』の娘だ。ひどく身体が弱かったと聞いた。もしかしたら君も同じような体質だったとしたら、俺は──」
 乃亜は夢から現実に舞い戻ってきたみたいに目をパチパチと瞬いた。
「そんなことまで知っているの?」
「俺とウィリアムの間に秘密はあまりないよ。まぁ……少なくとも、俺が反抗期だった頃以外はね」
「はあ……」
「それで、ノア、君はこうしてすぐ熱を出すようだし、二回も吐いた。もし彼女のように身体が弱いなら、俺は君への態度を改めないと。厩舎の掃除なんてさせるべきじゃなかった」

 予想外の方向に話が向かったけれど、結局乃亜を気遣ってくれるというダグラスの基本方針はまったく変わらなくて、乃亜の心は温かくなる。

「わたしは大丈夫ですよ……。優雅に見えますけど、バレエってすごく体力も筋力もいるんです。虚弱体質じゃ続けられませんよ。料理人だって同じです」
「それはよかった」
「それに……月子おばあちゃんのときとは時代が違いますから。今だったらもう少し彼女も長生きできたと思うんです」
「そうかもな」
 ダグラスはあっさりとうなずき、立ち上がる。

 彼はこんなふうに乃亜の体質まで気にしてくれていたのに、もしかしたら身体を求められるかもしれないと想像していただなんて……! 馬鹿、ばか、バカ!
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