二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「それからもうひとつ、今夜について……。今夜、君はこのままこのベッドを使う。これは決定事項で、君に拒否権はない。ただ、俺がここで君の隣に寝ていいのか、別の部屋に移るべきなのかは、君が選んでいいよ」
乃亜は小さく笑った。
ダグラス・ジョンソン・マクブライト。まだ見ぬ曽祖父が選んだ、父親を亡くしたばかりの九歳の男の子。なんて素敵な男性に育ったんだろう。なんて優しいひとに育ててくれたんだろう……。
ダグラスの口から月子の名前が出たことに、乃亜の胸はチクリと痛んだけれど──過去はもう変えられない。
月子の身体が弱かったことが、最終的にウィリアムと春子の人生を別つことになったのだから。
「ここにいてください」乃亜は答えた。
「よし」
「あなたにだって拒否権はありませんよ? もしわたしのいびきがうるさくても、我慢してくださいね」
冗談のつもりだったのに、ダグラスはまったく笑わず、真剣な表情でうなずいた。
「そのくらいのことで俺が君から逃げると思っているなら、ノア、考えを改めてもらわないと」
ダグラスはベッドの周囲を一周して、乃亜の隣に戻ると同じ毛布の中に入った。
「おやすみ」
ダグラスは言った。そして頭上のスイッチに手を伸ばすと、ランプの光を消した。
外ではコロラドの月が美しく金色に輝いていた。