二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
もつれる足でホセを探しはじめると、老カウボーイはすべてを察していたらしく、すでに用意されたタオルの山を乃亜に預けてくれた。
「ほら、きっと大丈夫だよ。旦那を手伝ってやりな」
仔牛の蘇生について言われただけではない気がしたのは、どうしてだろう。
とにかく乃亜はタオルの山を持ってダグラスと牛の母子の元へ急いだ。仔牛はまだ不動で、うんともすんとも言わずに干し草の上に横たわっている。
母親の牝牛に至ってはまるですでに諦めたように悲しげな目をたたえて、ゆらゆらと首を揺らしている。
「持ってきました! でも、でも……」
「俺にも一枚渡してくれ。これで身体をこするんだ。君は顔回りを」
すでに粘膜はダグラスが剥いだようだった。
普通は母親が舐めとるものじゃなかったのだろうか? この牝牛が特に怠け者なの? ネグレクト? とにかく仔牛を救わないと!
ダグラスと乃亜は一緒になって、動かない仔牛を拭いてゆすった。
ダグラスは何度も「来い、来るんだ」と呪文のように繰り返していて、乃亜も気がつくと一緒に唱えていた。
でも、やっぱり動かない。呼吸さえしない。
呼吸……そうだ、少なくとも息をさせないと!
もしかしたらアドレナリンで少し勇ましくなりすぎていたのかもしれない。とにかく乃亜はガッと仔牛の顔を掴んで、いわゆる……人工呼吸を施した。
「ノア!」
ダグラスがなにか叫んでいる。
でもここまできて、みすみすこの仔牛を死なせるわけにはいかない。乃亜はあきらめなかった。何度目かの息を吹き込んだそのとき……仔牛の喉が急にグルグルと鳴った。
「ノア、離れろ!」
ダグラスが乃亜の腰を抱いて仔牛から引き離したのと、仔牛が大量の浅黒いゲロを吐いて蘇生したのは、ほぼ同時だった。