二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
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たっぷりわんわんと十五分は泣き続けた乃亜を助手席に乗せると、ネイトはすべての荷物をピックアップトラックの後部座席と後ろの荷台に入れ、運転席に戻ってきた。
「さて」
車内にあったネイトのティッシュはすべて使い尽してしまったので、買ったものの中にあったトイレットペーパーをロールごと手渡しながら、ネイトは切り出した。
「ミスター・沈黙はなにも説明しないし、君は泣いてばかりだし、少し説明してもらえるかな? ちなみに俺はまだ君への失恋の痛手を抱えているところだから、お手柔らかに頼むよ」
乃亜はトイレットペーパーでもう一度鼻をかんだ。
「沈黙はダグラスのこと……?」
「他に誰がいるんだ。君が来てからだいぶ喋るようになったけど、あいつは元々すごく無口な男だよ。喋るのが苦手なんじゃなくて、あえて喋らないタイプの寡黙さだ。仕事で必要なときはいくらでも雄弁になれるから。あいつが馬を売り買いするところを一度見てみるといいよ」
確かに、ダグラスは最初寡黙で、一緒に過ごすうち徐々に口数が増えていった。
ホセも似たようなことを肯定していなかったっけ?
そうだ、ダグラスが笑うのを見るのは数年ぶりだと……。
元々、ダグタスの生い立ちに暗い影があったのは聞いているから、明るいだけの天真爛漫な人間にならなかったことに不思議はない。でもきっとなにか乃亜の知らない要素がもうひとつあるのだ。
そしてその鍵は『ソフィア』だ。
「ここの店内でソフィアさんに会ったんです。ふたりで買い物をしていたら、急に声を掛けられて」
「ああ……」
「わたしのことを、恋人なのかってソフィアさんは聞いてきました。そうしたらダグラスはきっぱり否定して……その……逃げました」
「なるほど」
「『なるほど』? そこで理解しちゃうんですね? あなたも彼女のことを知っているの?」
「まあ、知ってはいるよ。ダグラスが逃げた理由も……わかるよ。かわいそうに」
かわいそう? 誰が?
乃亜が?
ダグラスが?
……ソフィアが?