二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
こんなに優しい声がこの世に存在するとは知らなかった。その声が、こうして馬の厩舎の地面に転がっている阿呆な酔っ払いに与えられるとは……奇跡だ。
乃亜はダグラスの前にくると両膝でひざまずいて、そっと片手を差し出してきた。
そっと頬に触れる彼女の指先が冷たくて、ダグラスは目を閉じた。
「君のすべてが欲しいから」
「でも、それで泣く必要はないのに」
乃亜は少し笑っている。
「ノア、俺はただキスの話をしてるんじゃない……もちろん君とのキスは素晴らしいよ。でも俺は貪欲だ。もっとその先を欲しい。君を抱きたい。君の恋人でいたい。君を俺の妻にしたい。君と一緒に年を取っていきたい」
ダグラスは目を瞑っていたから、乃亜の反応はわからない。
少なくとも平手打ちは飛んでこなかったので、ダグラスは続けた。
「でも俺にはそれが許されない……だから泣いていたんだ」
いつのまにか、幻の乃亜の手がダグラスの両方の頬を包んでいた。
ダグラスは静かに目蓋を開く。
コロラド山脈の幽玄ささえも敵わないような、澄んだ、凛とした乃亜の瞳がダグラスを見つめている。ウィスキーの匂いの混じったため息を吐きながら、ダグラスは低く自嘲の笑いを漏らした。
「好きだよ。君を愛している」
「もし他の誰かが許さなくても……」乃亜は微笑んだ。世界一美しい笑みだった。「わたしが許します。抱いて」