二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
そうだ、外は雨が降っている。
サンダーストーム。
すべてを洗い流して、吹き飛ばし、ついでにこの哀れな男の脳天に雷でも落として、なにかを変えてくれ……。
「待って、ダグラス」
乃亜はついてきた。
駄目だ、戻ってくれ、君はこの雨に打たれて熱を出したばかりだろう……良心はそう告げているのに、ダグラスの中の身勝手な野獣が、いっそ彼女を道連れにできたらという誘惑さえ思い浮かべる。
外はすでに日が落ちかけていて、薄暗かった。
遥か先に立ち並ぶ山脈と、豊饒な地面が続く足元。自分のものだといえる土地。ダグラスはこの場所を愛している。
それでも離れるべき理由はいくらでもあったのに、なにか形のない力が、ダグラスを引き留め続けていたのだ。それは第一にウィリアムだったし、いつかこの女性に出会うために用意された、ダグラスの運命だった。
今ではそれがわかる。
ダグラスはあえて外に出て雨に打たれはじめながら、まだ厩舎の入り口に立つ乃亜を振り返る。
「来るな!」
違う! 来てくれ!
「ダグラス」
「さっさと家に戻って、ネイトと一緒に俺のことを笑っていればいいんだよ! 俺は哀れな道化だ、親友を救えなかった役立たずだ! 来るな!」
生まれたばかりの赤ん坊でもここまで愛に飢えてはいないだろう。ここまで……誰かの手を必要とはしていない。
「違うわ」
乃亜は宣言した。
「なにも違わない。少なくとも俺の中では、なにも違わない」
ダグラスはすでに濡れそぼったカウボーイハットを脱いで地面に捨てた。さらに厩舎からあとずさると、乃亜はついてくる。
遠くで雷鳴が響いて、彼方の空に閃光が走った。
乃亜は……。
乃亜は、なにも知らない。
知らせないままでいいと思っていた。しかし、滅茶苦茶になったダグラスの心は、ずっと告げるつもりのなかったことを口走りはじめた。