二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

「ノア、どうして俺がいつも湖畔の散歩に君を誘ったか、わかるか?」
「え……」
「俺にとって、あれは君のためにある場所だからだ」

 もし酔っていなければ、もう少し賢い説明ができたはずだった。それでもダグラスの中ではそれが真実で、それ以上に飾った言葉は出てこなかった。

「ソフィアにああ言われても、俺は高齢のウィリアムのためにこの土地に残った。それでも俺はまだ二十二だったんだ。どこかへ移ることも考えた……でもできなかった。あの湖畔を買い戻したからだ。その支払いを続けなきゃならなかった」

 乃亜は瞳をまたたいて無言の疑問を呈した。
 それはそうだろう……ふたりの運命は複雑すぎて、時々めまいがしてくる。

「あれは親父が『ツキコ』のために売り払った土地だったからだ」
「あ……」
「この牧場をまともに利益を出すもの(プロフィッタブル)にしたければ、あの土地はどうしても必要だった。そんなことは親父もわかっていた。それでも、一緒にいることさえできない娘のために親父は売った」

 春子とウィリアム。
 ダグラスと乃亜。
 その愛の種は冷たい冬の大地にまだ埋まっている。いつか春がきて、花を咲かせることを夢見ながら。この雷雨に吹かれても。
 時代が、運命が、どれだけ引き離そうとしても。
< 220 / 287 >

この作品をシェア

pagetop