二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 乃亜の中にある祖母・月子の記憶は、ただ写真と、曾祖母が語ってくれたところによる。
 可愛らしいひとだった。
 真っ白な肌で、薄い茶色の細い髪で、日本人離れした大きな瞳。
 当然だ……月子の父親はウィリアム・マクブライトで、ウィリアム・マクブライトは金髪碧眼のアメリカ人だったのだから。

「あの頃はまだ、国民皆保険なんてなかったのよ」曾祖母は語った。「本当に、本当にどうしようもなかったの。あの子を救いたかったら、きちんとしたお医者さんに診せなくちゃいけなかった。お金が必要だったの」

 ダグラスは以前、彼とウィリアムの間に秘密はあまりなかったと言った。
 ──それは乃亜と春子も同じで、曾祖母はおそらくひ孫に語るには少し道徳的に赤裸々すぎる細部まで、乃亜に教えてくれた。

 ウィリアムが強制的に帰国させられ、母国で軍法会議にかけられ……そしてなんと有罪となり数年の懲役刑が決まると、春子はひとりで出産せざるを得なくなった。
 そして生まれたのが月子だ。

 月、は……ウィリアムの愛の告白からつけた名前だろう。
 十月十日の満ちる前に生まれ、とても小さい、本当に小さい子だったと曾祖母は言った。生まれつき心臓に疾患があるとわかったのはそれからすぐだった。
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