二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 * *

「濡れるべきじゃない……中に入ってくれ、ノア」
「じゃあ、一緒にきてください」
 なんだかんだ言って、乃亜の懇願をダグラスが無下にすることはない。乃亜はすでにそれを学びはじめていたから、頑固な彼を厩舎の中に呼び戻すため、切なく願った。

 もちろんダグラスは乃亜を雨から庇うようにして、すぐに厩舎の中に入った。
 (うまや)とはいえ、繊細な馬たちを守るために多くの設備があるそこには、頭上に大きな赤外線ヒーターがあって、ダグラスはそれの電源を入れた。

 その行為が、彼自身のためじゃなくて、自分のためだということを乃亜はよくわかっている。
 赤々と灯る光が、雨に冷えた肌をすぐに温めた。

「抱いて、ください」
 乃亜はもう一度ささやいた。
 ダグラスは答えなかった。

 それでも彼は静かに乃亜の元に戻ってきた。ダグラスはそのまま乃亜の背後に回ると、後ろから彼女をそっと抱きしめた。今まで何度か抱きしめられたとき、いつも正面からだったから、まるでまったく新しいことをしているような気分になった。

「その……本当の意味をわかっているのか?」
 本当の意味……。
 耳元につぶやかれたダグラスの低い声に、乃亜の中の沢山の感情が反応する。恐れもあった。期待もあった。欲望もあった。
 でも一番大きいのは、間違いなく愛情だった。

「はい」
「いいや、君はなにもわかってないよ」
「だとしたら……教えてください。知りたいから……」
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