二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「じゃあ、もっと乱し……て」
言葉はもう必要なかった。
布越しに触れていたダグラスの手が、服の中に入ってくる。乃亜はきっと周囲の馬たちを恐がらせてしまうような鋭い嬌声をあげた。
ダグラスはそのまま次々に乃亜の服を脱がせていくと、下着だけの姿にさせた。そして乃亜をくるりと回転させる。
ふたりは向き合った。
濡れているとはいえダグラスはまだ服を着ている。ここは厩舎で、動物の匂いがして、乃亜の背後にあるのは干し草の山だった。
「君を傷つけたくない」
ダグラスは言うと、彼のフランネルシャツを脱いで干し草の上にそれを投げた。下着姿の乃亜を抱き上げると、シャツが背中に当たるようにゆっくりと下ろす。
ベッドよりも少し高いくらいの位置で、なだらかな高低がついている。乃亜は仰向けになった。
ダグラスは覆いかぶさってきた。
「君がどんな下着をつけているのか、いつも想像していた」
と言って、ピンクのブラのストラップを一本、ピンと引っ張る。乃亜は小さく笑った。
「そんなことを? いつから?」
「最初からずっと」
「嘘でしょう? ずっと眉間に皺を寄せて、難しい顔してたのに……」
「ずっと真剣に考えていたんだ……君の下着の色や、形や、その下にある素肌のことを」
ダグラスの人差し指が胸の谷間にすっと入ってきて、カップを少しだけ持ち上げて中をのぞいた。彼の喉仏がごくりと上下する。
「……どう? 想像通り?」
「ああ」
こんなときだけど、ダグラスの声は本当に優しかった。「想像以上だ」
「よかった」
「脱がしても?」
「どうぞ」
赤外線ヒーターのお陰で寒くはない。むしろ焼かれているようで暑いと感じてしまった。
それでもダグラスは乃亜を脱がすよりも先に、彼が下に着ていたタンクトップを脱ぎ捨てて上半身裸になった。
彼のたくましい筋肉を見るのははじめてではないけれど、これからこの身体に抱かれるのだと思うと、今までとは少しレベルの違う……緊張を感じた。
期待も。
ダグラスは乃亜の肩にちゅっと唇を寄せた。
「このときまで待っていてくれて、ありがとう」
ああ……。
この歳まで処女でいたことについて、焦りや、悲しみさえあった。嗤われたことも。別れを選ぶ結果になったことさえ。でもすべてが報われた。
──この愛を永遠にできなくても、この瞬間だけは乃亜の中で永遠になる。