二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「ノア、君にとって俺が鬱陶しい男だというのはわかる。まったくその通りだ。でも俺が君を鬱陶しく思うことはない」
「でも……」
「でも、じゃない。昨日のことは……」
昨日のことは……?
ダグラスにとって昨日は永遠のはじまりだった。ウィリアムと同じ道の切符を買ったようなもので、きっともうダグラスの心に「広瀬乃亜」以外の選択肢はない。
しかし乃亜はまだ二十四歳だ。
帰る国があって、無限に拓けた未来がある。ダグラスにそれを邪魔する権利はない。少なくとも……彼女を幸せにする覚悟がない限りは。
この八方塞がりな状況を打破するために、ダグラスはソフィアと話し合う必要があった。それまでは乃亜になにかを約束することはできない。
愛も、将来も、互いを恋人と呼ぶ権利も。
ダグラスが両脇で拳を握って答えずにいると、なにを思ったのか……乃亜は薄っすらと涙を浮かべながら儚く微笑んだ。
「いいんです。わかっています。わきまえているから……心配しないで」
「ノア──」
そのときだった。ジーンズのポケットに入っていたダグラスのスマホが、通話の着信を告げて鳴る。たとえローマ教皇から電話が掛かってきても応える気分ではなく、ダグラスは着信を切るつもりでスマホに手を伸ばした。
「鳴ってますよ……ちゃんと取らないと」
と、それこそ妻のようなことを乃亜が言うので、ダグラスは画面を確認した。
ウィリアムが入院している病院の名前が表示されている。
時刻は朝七時。
最悪の事態のことを考えて、ダグラスは「すまない」と断りを入れると乃亜から離れて、リビングで通話に答えた。