二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「もしもし」
『ダグラス? こちら、セント・ポール・キャピタル病院のミシェルよ。こんな時間にごめんなさいね』
ウィリアムを担当している顔見知りの看護婦だった。
「なにかあったのか?」
『いいえ。朝早くに驚かせてごめんなさい、ウィリアムは大丈夫よ。むしろ逆で、とても気分がいいみたいなの。珍しいくらい調子がよくて、どれくらいそれが続くかわからないから、できれば今すぐあなたと面会したいと言っているのよ。あなたと……もうひとり面会登録した女性がいたわね? 遠い血縁だとか?』
「ひ孫」ダグラスは指摘した。
『そう。ひ孫ね。彼女も連れてこいと言っているわ。どう? 来られるかしら?』
ダグラスはリビングからキッチンにいる乃亜を見すえた。
乃亜もこちらを見ながら、なんとなく内容を察したのだろう、不安そうに瞳を揺らしている。
「一時間以内に」
短く答えて、ダグラスは通話を切った。マクブライト邸にしばらく沈黙が流れる。
「ウ……ウィリアムさん……? まさか……」
時刻的に、乃亜も最悪の事態を想像したのだろう。ダグラスは彼女を安心させるためにキッチンに戻って彼女の手を取った。
「親父は大丈夫だよ。面会したいと言っている。もちろん、君とも」
「あ……」
ときが巻き戻される。
いつのまにか一緒にいることが当然のようになっていたふたりが、出会った理由──『手紙を渡したら、わたしはすぐに日本に帰ります。一日だって滞在を伸ばしたりしません』
「こ……このオーダーを出し終えないと」
「終わるまでは待つよ。今朝はその一件だけだろう」
「ええ……」
乃亜の声が震える。
春子からウィリアムへの手紙。それを渡し終えれば、乃亜がここにいる理由はなくなるのだ。