二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
ウィリアムとの面会に乃亜が選んだのは薄いピンクのワンピースで、ここしばらくの牧場生活に合わせて着ていたジーンズやフランネルシャツとは違う、女性らしいシルエットがひと目を惹いた。
足元は低いヒールのついた華奢なサンダルで、スプリング・ヘイブン牧場では一分ともたないだろう。
──ダグラスにとって、乃亜は月から来た天女なのかもしれない。
ときが来たらこの手からすり抜けて消えてしまう、特別な存在。
乃亜のワンピース姿を眺めながら、ダグラスはそんなことを思い浮かべた。
病院の白い廊下をふたりで進みながら、ダグラスはこれから起こるであろうことを想像して喉の奥でうなった。
ウィリアムが乃亜を前にどんな反応をするのかは未知数だった。
そして乃亜がなにを選ぶのか、ダグラスがどこまで進めるのか……。
ウィリアムの病室の手前まで辿り着いたとき、今朝電話を寄こしてきたミシェルという名の看護婦が隣の部屋から出てくるところだった。
「あら、ダグラス。ちょうどよかった! 遅いからもう一度連絡しようと思っていたところなのよ。ミスター・マクブライトがお待ちよ」
ミシェルはダグラスの隣にいる乃亜を一瞥して、人懐っこい笑みを浮かべた。
「あなたがノアね。話はミスター・マクブライトからうかがっているわ」
「ウィリアムが? わたしのことを?」
「ええ」
乃亜が驚いたのと同じくらい、ダグラスも驚きを隠せなかった。
ダグラスが知る限り、ウィリアムが乃亜について知っているのはその存在くらいのはずだった。
月子が娘を残してすぐ亡くなり、後年その娘がひとり娘を産んでいるので、ウィリアムの血筋は日本のどこかに存在して生きている……その程度の漠然とした知識。少なくともそれがウィリアムがダグラスに語ったところだった……が。
「さあ、どうぞ」
ミシェルにうながされて、ふたりは病室に入った。