二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
病院独特の白すぎる壁。消毒液の匂い。所々から響く心電図のモニター音。病院を好きだと思えたことは一度もないが、隣に乃亜がいるというだけでダグラスの心は少し軽くなる。
病室は相部屋だったが、その日、ベッドを使っているのはウィリアムだけだった。
「親父」
ダグラスは一歩先に出て、ウィリアムの枕元に立った。
ウィリアムはベッドの背部を上げて傾斜をつけ、斜め四十五度に座るような姿勢でふたりを待っていた。
「ダグラス、来たな」
すでに九十九歳を迎えた男として、ウィリアムは驚くほどすべてがしっかりしていた。それでもときの流れに勝てる人間はおらず、白い髪は以前よりさらに細り、肌はたるみ、声には震えがあった。
それでも変わらないものがひとつある。澄んだ青の瞳だ。
これに見つめられると、ダグラスはいつも心を裸にされたような気分になる。子供の頃、悪戯を見つかったとき。実の父の死が悲しくてひとりで泣いていたとき。ボロボロの心を背負って四年の軍隊から帰ってきたとき……。
「お前ひとりに任せるつもりはなかったのにな」
なにについて──誰について──言われているのか、すぐにわかった。長年の親子としての絆は、ふたりの男に阿吽の呼吸を教えていた。
ウィリアムは知っていたのだ。