二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

「わたしは……結婚するまで、待つつもりでいた……」
「親父」

 今度はダグラスが警告をにじませる番だった。
 とはいえウィリアムはそんなものに関心を払わず、むしろさらに流暢になって、先を語り続ける。

「春子は……わたしとの繋がりを……欲しがっていた……。それでも未婚のままの彼女に手を出すわけには……いかないと……必死で我慢していたんだ……。それをあの晩、基地で一杯やってから……会いに行ってしまって──」
「親父、そこまでにしてくれ。聞きたくない」
「お前が聞きたいから話すんじゃない……わたしが吐き出したいだけだ。懺悔だ。嫌なら耳を塞いでおけ」
「畜生」
「しかし、後悔はしていないよ……。春子もそうだ。どうしてだかわかるか? お前たちにその価値があるからだ。あの晩がなければ……乃亜はいなかった。あの別れがなければ……わたしはおそらくお前という息子を得られなかった」

 ダグラスは顔を上げた。
 七歳のときのダグラスには一点の染みもない無敵の英雄のように思えたウィリアムが、今は病院のベッドで点滴のチューブに繋がれ、しわがれた細い声で過去の失態を告白している。

 いつか自分もこんな日を迎えるのだろうか。
 そのときダグラスの隣にいるのは、誰だろうか。乃亜。

「その手紙には、なにが書いてあったんだ?」
「読みたければ読むといい。英語だ」

 ダグラスは差し出された封筒を受け取って、中にある一枚の便箋を慎重に取り出した。なにか長い告白のようなものを想像したのに、そこに綴られていたのはたった十数行の、詩のような文章だった。
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