二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
花束のようなものを買おうかという考えも頭をよぎったが、ダグラスは結局、一刻も早く乃亜の元につくことを優先して真っ直ぐスプリング・ヘイブン牧場に向かった。
やるべきことは山ほどあったが、ダグラスは突進するように乃亜の客室に向かった。
──そう。乃亜が熱を出していた隙を利用して、彼女の荷物はほぼすべてキャビンからダグラスの部屋の向かいに移動させてある。
ひとはそれを狡猾と呼ぶのだろう。
卑怯だとさえ。
それがどうした? ダグラスはこれ以上乃亜を徒歩一分もある距離に置いておくことができなかった。二歩分もある廊下と、二枚の忌まわしい扉を隔てているだけでも十分遠いのに。
「ノア? ここにいるのか?」
客室の扉をノックすると、乃亜はくぐもった妙な声を出して返事のようなものをした。ダグラスはすぐに扉を開いた──そして、室内で繰り広げられていることを目撃して、二度とこの女性から目を離すべきではないという確信を強めた。
広瀬乃亜はすべての荷物をスーツケースに詰めている最中だった。
「ダグラス……あの」
「なにをしているんだ?」
「えっと……」
乃亜の声は明らかに震えていた。ダグラスはいったいどんな表情をしていたのだろう。自分ではわからなかった。あまり穏やかなものでなかったことだけは確かだ。
「実は……日本に帰ろうと思います。それで、荷造りを……」
「なぜ?」
なんて馬鹿げた質問をしているんだ、ダグラス・ジョンソン・マクブライト。これは最初から乃亜が宣言していたことで、そう言わせてしまったのは自分自身の態度のせいで、最後に棺桶の釘を打ったのは自分だというのに。
「春子おばあちゃんからの手紙を……もう渡したので」