二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
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それからしばらく、ダグラスは本当にウィリアムについての昔話を、春子に語った。
春子は笑い、泣き、ときには呆れ、何度もダグラスの話にうなずいた。
乃亜も、もしかしたら一生分の涙を使い果たしたのではないかと思うくらい泣いた。でも沢山笑いもした。
ダグラスは泣いているときの乃亜の肩を何度か抱いた以外、触れようとはしてこない。
日が暮れて夜が近づくと、春子は疲れたので休みたいと言い寝室に戻った。残念ながら父は残業で、出前を取ろうかと直美が提案すると、ダグラスは立ち上がった。
「どうかお気遣いなく。俺はこれで失礼します。ありがとうございました」
アリガトウゴザイマシタ、だけ日本語で言ったダグラスは、それで本当に帰ってしまうことになった。
「本当に? ここに泊まっていいのよ」
確かに英語嫌いで通っているが、直美は医師である。ただ使いたがらないだけで、まったく喋れないわけではない。
ダグラスは躊躇なく首を横に振った。
「──いつかそういう日が来たらと思います。でも今は、けじめをつけさせてください。いつかお嬢さんが俺の妻になることに同意してくれたとき、俺はここに泊まります」
「まっ」
黄色い声を上げる母。
「ダグラスってば……」
身の置き所がなくて視線を泳がせる乃亜。