二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 * *

 ウィリアムはゆっくりと目を開いた。
 妙に目蓋が重い……。

 ああ、そうだ、自分にはもうあの頃の若さはない。九十九歳。それでもこの歳で目を開いていられることに感謝しなくてはならないと思いながら、ぼんやりと視線の焦点を合わせようとした。

 しかしその前に、声が聞こえた。視力こそ衰えがあるものの、聴力だけはなぜかあまり悪くならず、小さな補聴器さえあれば普通に会話ができる。

「親父」
 ダグラスだ。
 しかし、あの頃の少年の声ではない。
 成長し、ときに反抗し、国を守る任務に就き、友人の死を乗り越え、土地を守り……ひとりの女性を愛した大人の男の声。

 熱い誇りが胸を満たした。思い通りにならないことの多い人生だったが、この少年を育て上げたことだけは意義があったと、胸を張って誇れる。

 ウィリアムが伸ばそうとした手を、誰かが取った。
 ──誰だろう?

「親父……ひとつ親孝行をさせてくれ」
 ダグラスが言った。
 ウィリアムは笑った。「お前は数え切れないくらいの親孝行をしてくれたよ」
十分じゃない(ノット・イナフ)
「なるほど……?」
「ただ……これは十分だと思うよ。あなたがずっと求めてきたものだ」

 ふん……? ウィリアムが求めてきたものなど、息子となったダグラスの無事と健康をのぞけば、春子だけだ。それが……。
 それが……?

「ウィリアム……」
 まさか。
 まさか──!

『春子……?』
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