二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 どれだけのあいだ、この瞬間のことを夢見ていただろう。
 どれほどの孤独な夜を、この女性を求めて過ごしただろう。

 ウィリアムにとってふたりの別れは、本当の意味での別れではなかった。──この心はまだ君に繋がっている。しばらく待っていれば、そこの扉を開けて君が入ってきてくれる。そんな現実と夢の狭間に生き続けてきた。

「ウィリアム……ごめんなさい……」

 綺麗な英語だ。
 別れた頃のたどたどしさはなく、母音の重みも消えている。声だってあの頃とは違う。むしろ乃亜の声の方が、当時の春子と重なっていて驚いたくらいだ。

 しかし……わかった。
 わかってしまったのだ。彼女はウィリアムの春子だから。

「君が……なにを謝る必要が……あるんだ」

 ここはどこだっただろう? 病院か?
 違う。ダグラスと乃亜が日本に発ったあと、ウィリアムは無理を言って退院させてもらっていた。手伝ってくれたのはホセと、ダグラスから事情を聞いていたネイトだった。

 マクブライト邸だ。
 ウィリアムが、春子のことを思って建てた家。

「あなたを、待てなかったから」
「君は月子を守った……。それでいい……それでいいんだよ」

 視界の焦点が合いはじめて、ウィリアムは周囲の状況を理解していった。自分はベッドの上で、自分と同じくらい歳を重ねた春子がベッドサイドで車椅子に座り、自分の手を握っている。

「ダグラス、わたしを起こしてくれ」
 ウィリアムの言葉に、ダグラスは笑った。「こんなときに格好つける必要はないんだよ」
「馬鹿息子が。今……、今、恰好をつけなくて、いつ、つけるんだ」
「確かに」

 ダグラスは完全にウィリアムを理解していた。
 そうだ……この子はいつもそうだ。血の繋がりはなくても、ウィリアムとダグラスも魂で繋がっている。
 この世には時々、そういう縁があるのだ。
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