二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
ふたりは静かに抱き合っていた。
しばらくすると、窓からダグラスと乃亜が外でじゃれているのが見えた。笑い声さえ聞こえてくる。ダグラスがこんなふうに腹の底から笑うのを本当に久しぶりに聞いた。
もしかしたら、はじめてかもしれない。
春子も同じように窓に顔を向けると、目を細めていた。そして涙ぐむ。
ウィリアムは彼女の髪をゆっくりと撫でた。
「泣かないで。あの子を見てくれ。可愛い子だ」
窓の外の乃亜に視線を向けながら、ウィリアムはさささやいた。「君が産んで……育ててくれた子の証だ」
「ええ。そうね……本当にいい子よ」
「そして……彼女の隣にいるあの青年を見てくれ。立派でいい若者だろう?」
ウィリアムはダグラスについてそう語った。
「ええ」
「……わたしが選んで……育てた子だ。きっと俺たちの乃亜を……生涯守り続けてくれる。あのふたりが……わたしたちが過ごすはずだった、この春の楽園で生きていく。それでいいじゃないか」
ウィリアムが誓った永遠はこうして続いていく。
それでよかった。
それがよかった。
ダグラスと乃亜──それがウィリアムと春子の愛に意味を与えてくれた天使で、ウィリアムはどちらのことも大切に思っている。ただ、ウィリアムの愛はこの腕の中の女性にしか向かない。
「ただ……今だけは……あの天使たちに嫉妬したい。あんなふうに……君を幸せにしてあげたかった……一緒に歳を取りたかったよ」
「ええ、わたしも」
その発言について、ウィリアムは春子を止めなかった。
今だけだ……明日はもう、過ぎ去った過去はかえりみない。ただ今だけ……あの天使たちに、嫉妬させて欲しい。
ウィリアムもああして……幸せになりたかったから。