二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
ウィリアムの唇はすでに薄く微笑んでいて、春子が戻ってくるのを待っている。どんな形であれ、どれだけ時間がかかったのであれ、最後にはこうして幸せになれたなら……。
「ありがとう……ダグラス。すべてに感謝している。わたしの元に来てくれたこと。わたしの元に戻ってきてくれたこと。そして、春子を連れてきてくれたこと」
「最後のそれはノアの案だよ」
「あの子ひとりでは難しかっただろう。お前は立派に役割を果たしてくれた。すでに話した通り、わたしのものはすべてお前のものだ。すべてだ」
ダグラスはごくりと唾を飲み下してからうなずいた。
乃亜が現れた時点で、もしウィリアムが遺言の類を変えたいと言い出しても、それは仕方のないことだと納得していたが……。
「お前に託すことが、乃亜に託すことでもあるだろう」
「もし彼女がイエスの返事をしてくれればね」
「諦めるな」
「諦めないよ。俺はウィリアム・マクブライトに育てられた息子だ」
「それでいい」
二度目のそれでいい、を言い終えたあと、ウィリアムはひと息ついて角度をつけたベッドの背もたれに背中を預けた。
「ひとつ……美しい日本語を教えてやろう」
それがダグラスとウィリアムの最後の会話だった。そこから教わった言葉を、ダグラスはおそらく生涯忘れないし、願わくは一生、使い続けていたい。
乃亜のために。