二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
無言でピックアップトラックに戻るダグラスに、乃亜はついていった。
先にピックアップトラックに辿り着いたダグラスは、助手席側の扉の前に立って乃亜を待っていた。当然、ダグラスが運転手側に乗り込むだろうと思っていたので、乃亜は首をかしげる。
「あの、わたし……こんな大きい車、上手く運転できるかどうかわかりませんけど……」
ダグラスは首を逸らして灰色の瞳を空に向けて、なにか乃亜に聞き取れない単語をつぶやいた。多分、いわゆる英語の汚い四文字熟語だと思う。
失礼な。
「君に運転してもらおうとは思わないよ」
そして、助手席側の扉を開ける──乃亜のために。
「あ……」
乃亜は赤面した。
せずにはいられなかった。
このダグラス氏は第一印象よりずっと紳士だ。
愛想はないかもしれないけれど、レンタカーは直そうとしてくれたし、荷物は運んでくれたし、泊めてくれるようだし、おまけに助手席の扉まで乃亜のために開いてくれる。
「ありがとうございます」
それをわざわざ指摘するよりも、素直に彼の親切を受け入れるべきだと思って、乃亜は大人しくピックアップトラックに乗り込んだ。
日本ではあまり見ない種類のフルサイズだから、かなりの高さだった。
ダグラスはパタンと静かに乃亜側の扉を閉めて、自らは運転席に移った。エンジンがかかると想像していたよりずっと落ち着いた振動がはじまる。
「シートベルト」
と、指摘されて乃亜は急いでシートベルトを締めた。
「は、はい。締めました」
白いピックアップトラックはふたりを乗せて急なUターンをすると、一車線の車道をゆっくりと走った。