二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
乃亜はその名の響きを咀嚼するように、口の中で小さく復唱した。
ダグラス……。
なんとなく彼にぴったりの名前だと思った。おそらくあまり今時なネーミングではないのだろうけれど、男らしさと堅実さと……ちょっと近寄り難さを感じる名前。
ダグラスは乃亜のレンタカーの屋根を軽く叩いた。
「この辺ではこんなもの誰も盗もうとは思わないだろうが、一応このポンコツの鍵を閉めておいてくれ。荷物はどこにある?」
「トランクの中です。といっても、小さなスーツケースとリュックがひとつだけですけど」
「じゃあトランクを開けてくれ」
さすがにトランクの開け方くらいはわかったので、乃亜は言われた通りにトランクを開くレバーを引いた。
乃亜が「自分でやれます」という短いセンテンスを英語で言い終わる前に、ダグラスはすでに助手席側の窓から消えて、トランクの中身を物色していた。
空港で乃亜が必死で持ち上げたスーツケースは、ダグラスの手によってまるで空気しか入っていないかのようにヒョイっと取り出された。
もちろんリュックも。
荷物はすべてピックアップトラックの後部座席に置かれ、残りは助手席にある手荷物のバッグだけ。
少なくともこれくらいは自分で運ばなければと乃亜が手を伸ばしたとき、ダグラスが戻ってきて同時に手を出そうとした。
「こ、これは自分で持てます」
「……そうしたいなら」
乃亜は自分でバッグを持ち、降車して鍵をかけた。
言葉にして誘われたわけではないが、彼のピックアップトラックに乗せてもらえるということだと……思う。
思いたい。