二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
たかがコロラド、されどコロラド。文字通り地球の裏側からの長旅に、乃亜は疲れ果てて天井を仰ぎ見た。
(そりゃあ、なんでもかんでもとんとん拍子に進むとは思っていなかったけど……)
まさかレンタカーがなにもない牧草地で煙を吹いて昇天し、ウィリアムの息子に助けられた挙句、そのウィリアムが心臓発作で入院中……いつまでここに残ればいいのかわからない状況になるとは、夢にも思わなかった。
(なにもなければ今頃、ウィリアムさんとちょっと感動的な面会をして、パゴサで温泉を見たあと、コロラド・スプリングで観光中だったはず……)
しかし、お洒落な観光地の代わりに乃亜の目の前にあるのは、古色に染まった丸太の壁と、そこに掛けられたのは埃を被ったバッファローの頭部の剥製……。
(ほ、本物……?)
無料で提供された宿に文句を言うつもりはないが、さすがにバッファローの頭はどうにかして欲しい気がする。
ここは従業員用の住まいで、全体的に必要最小限の家具しか置いていないが、壁だけは様々な……馬への愛に溢れた品々が飾られていた。
馬の写真。馬の絵。使い古した馬の蹄。馬のオブジェ。馬の……。
幸いキッチンだけは比較的馬フリーの空間で、ちょっとレトロなポットやコーヒーメーカーが並んでいるだけだった。
小さい冷蔵庫もきちんとある。馬のマグネットがいくつか貼られているけど。
来週になればもっと綺麗な客用のコテージを空けてくれるとのことだが、乃亜はそこまで長居するつもりはなかった。
乃亜をあまり快く思っていないダグラスに、迷惑をかけるわけにはいかない。
「養子……。そっか、養子だったんだ」