二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
『結婚しよう。君を連れて行く』
そしてもうすぐ冬がはじまろうとする頃、それは起こった。
「今夜はビルさん、いらっしゃるかねえ」
その夕方、珍しくすでに帰宅していた母が、どこかせわしなく夕餉の準備をしながらそう言った。
ビル、とはウィリアムのことである。
はじめてウィリアムが春子の家族に挨拶に来た日、舌足らずな弟達が上手くウィリアムと呼ぶことができなかったため、ビルでいいよ、とウィリアム自身が提案したからだ。
以来、ウィリアムは春子の家で「ビルさん」と呼ばれている。
春子を抱いてからのウィリアムは今まで以上に優しいうえに、春子の家族の面倒さえ見てくれるようになった。
「どうかな。最近、お勤めが忙しいんですって。もしかしたら帰国もあるかもしれないという話らしくて……」
野菜を洗う手伝いをしながら、冷たい水にかじかむ手を動かしつつ、春子はそう答える。
答えながら──しまった、と思った。
「春子」案の定、母は手を止め、春子を見据える。「あんたはビルさんについて行くつもりかい?」
「わ……わからないわ」
「米国は遠いよ。嫁いだらもう帰ってこられないかもしれない」
「お母さんは……反対……よね、もちろん」