二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

 当然だ。ここまで育ててやった恩を忘れたのか。米兵に嫁ぐなどとんでもない──そんな叱責を覚悟したのに、母は柔らかく微笑むだけだった。
 ウィリアムとの関係を非難されたことはなかったが、それは彼が時折都合してくれる食料があるからで……。

「あんたはいい子だから、遠くに行ってしまうのは寂しいよ」
「う、うん……」
「でも、お父さんはもういないし、ここにいたって嫁入り道具も揃えてあげられない。もしビルさんが大事にしてくれるなら、行っちゃった方があんたの幸せかもしれないね……。向こうさんには、食べきれないほど食料があるって話じゃないか」

 皮さえもったいなくて落とせない大根を家族四人のために細かく刻んで、汁にしようとしているところだった。
 味噌が手に入らなくて、調味料といえるのはウィリアムがどこからか持ってきてくれた塩のみ。
 なんとか火が起こせるだけでも、感謝しなくてはならない日々だった。

「……でも、お母さんと哲と次郎を置いていけない」
「哲も次郎も永遠に子供じゃないよ。それに、東京辺りに嫁いだって、会えなくなるのは同じさぁ」

 娘なんだから覚悟はしていたよ、とぶっきらぼうに付け加える。
 そして母は調理に戻った。

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