二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

「君の勇ましさには恐れ入ったよ」
 そう言うとダグラスは立ち上がった。あちこちについた干し草を手で払って、地面に落ちたカウボーイハットを手にする。帽子を頭に乗せると、まだ地面に座ったままの乃亜に手を差し伸べた。
 乃亜はその手を取って、素直に立ち上がる。

 ふたりは静かに見つめ合った。
 ダグラスの表情は真剣に戻っていた。取り付く島もないような厳しい顔。きっと乃亜を養父の敵だと思っている男の視線。

「……さあ、作業に戻ってくれ。そんなに難しい仕事じゃないはずだ」

 ずくんと胸が痛んだのは、どうしてだろう。
 自分がこのひとに好かれるはずはないし、好かれなければいけない理由もない。乃亜はウィリアムに手紙を渡したら日本にすぐ帰るつもりでいるから、おそらく数日後にはもう会わなくなるひとだ。
 結局、血の繋がりもないのだし……。

 ダグラスはくるりと乃亜に背を向けて、乃亜の干し草攻撃に襲われる以前にするつもりだったらしい仕事に戻っていく。

 もう彼のむき出しのお尻も気にならなくなっていた。……と言ったら嘘かもしれないけれど、とりあえず彼の後ろ姿を冷静に見送ることができた。

(とにかく……考えてもしょうがないでしょう、乃亜!)
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