二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
そういえば、おでこのフライパンのあざでも、彼は過剰といっていいような反応を見せた気がする。なんだか申し訳ない気持ちになって、乃亜はすぐ手を引っ込めようとした。
遅かった。
ダグラスの腕が伸びてきて、乃亜の手を掴む。
「ひゃあっ!」
変な声が出た。
だって、だって、だって。
ダグラスは目蓋を伏せると乃亜の手のひらに唇を寄せた。ちゅ、と肌を吸うような短い音がして、擦り傷の表面に彼の舌が柔らかく這う。
そんな……!
「消毒をしないと」
ダグラスはぼそりとつぶやいた。乃亜に対してというより、彼自身に言い聞かせているような口調だった。
「ただのかすり傷ですから……。そんなつもりで見せたわけじゃないの」
「君があそこまで本気で掃除するとは思っていなかった。厩舎の地面には塵ひとつなかったよ。君はその辺のカウボーイの倍は仕事をした」
ダグラスは乃亜の仕事の成果を褒めて、くくっと短く笑った。
乃亜は確信を持って胸を反らせて言った。
「コロラドのカウボーイが、掃除のスキルで日本の女子に勝てるわけないんです」
ダグラスは特に反論はせず、うなずくと乃亜の手を取って立ち上がった。
「君の言うとおりのようだな」
そう、かすかに微笑んで。