一年で終わるはずの契約結婚でした 〜離婚まであと一か月、夫が私を離しません〜
「もしかしたら……社長が本気なのか、迷われているのか、分からないのかと思いまして。」

そう言っても、社長からすぐに返事は返ってこない。

「年齢的にも、失敗できませんし……離婚を避けるためにも、本気で愛してくれる人か、見極めていらっしゃるのだと思います。」

自分で言いながら、胸の奥がひりついた。

それはきっと、彼女の立場を想像してしまったからだ。

社長は、背もたれに深く体を預け、足を組む。

その仕草はいつも通りなのに、どこか投げやりに見えた。

「……愛してるなんて、死ぬほど言ったよ。」

低く吐き出すような声。

その言葉に、胸がちくりと痛む。

——そんなに、好きなの?

その年上の女性のことを。

私の知らない時間を、私の知らない想いで埋め尽くした人がいる。

そう思うだけで、息が詰まりそうだった。

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