御堂先生は溺愛中

「先生は高校生の時どうやって進路を決めたんですか?」



近くの椅子に腰をかけて資料を読んでいる佐野に、凛もすぐそばの椅子に座ってそう問いかけた。



「俺?俺はなんとなく、まあ、どこの企業のどの部署でもある程度はいけそうな、潰しが効くような学部を選んだからなあ。」



「潰しが効く学部ってなんですか?」



「潰しが効くっていうのは、まあ大学卒業した後の就職先の幅がそこそこ広いって感じ?

そういう学部の方が在学中にやりたいこと探す猶予ができるから、大野みたいにやることない人はいいんじゃねえの?」



「ふうん。」



そんな学部があるとも知らず、ただ入学したらその道一ぽ本で行かないといけないと勘違いしていた凛は、少し気が楽になった。



「大野は家から大学通うつもりなの?それとも県外で一人暮らししたいとかあんの?」



佐野はそう聞きながら、本棚からファイルを取り出した。



一人暮らし…憧れはあるけど、いまは御堂先生の近くにいたいから…。




「家から通える学校がいいです。」



「あそ、じゃあ家から通える学校だったらこことか、この辺りとか?まあ、ちょっと背伸びしてこことか。」



佐野はファイルを開くと、いくつかの大学の名前を指さしながらそう言った。



「このなかで、潰しがきく学部だと〜…ああ、ここの経営学部とかか。」



「経営学部…私そんな頭の良さそうな大学入れますでしょうか…??」




経営学部という名前の響きが、どうも頭が良さげで、凛は不安になりながら佐野に尋ねた。



「まあ…大野の偏差値を知らないからわかんねえけど。ここの高校通えてるレベルだったら、ちょっと頑張ればいけるんじゃねーの?」



「私も自分の偏差値がわかんないです!」



「………。まあ、一般で入るなら英語と国語ができれば大丈夫だって。」



「……先生、私バリバリ理系です。」




そう言う凛に、佐野はしばらく黙り込み、気まずさを隠すように笑った。



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